稲垣氏に対して刑事補償法に定める最高額の補償をすべきは当然である(後藤貞人弁護士による大阪高等裁判所への意見書より)
検察官が公正な立場で客観的な資料で検討すれば
身体拘束の必要はどこにもなかった事案である
刑事事案で不当逮捕され、裁判の結果、無罪が確定した人は無罪の裁判に要した費用の補償と拘禁の日数分の刑事補償を請求できます。
監視カメラの刑事事案で釜合労委員長の稲垣浩は何ら不法、不当な行為をしていないし、逃げも隠れもしていないのに、二度にわたって不当な身体拘束を受け、その期間、労働組合委員長としての活動に従事することができませんでした。
本件では、刑事補償法の規定する「1日につき最高1万2500円の割合による金員の補償」が認められるべきであり、無罪判決確定までの間の拘禁日数6日分、7万5千円の交付を大阪高等裁判所に求めました。
すると、大阪高等検察庁の検事は「『…本人が受けた財産上の損失』『得るはずであった利益の損失』の存否、程度、それらと本件での拘束との因果関係につき、慎重な吟味が必要である」等々の意見書を大阪高等裁判所に提出しました。
これに対し、稲垣浩の弁護人後藤貞人弁護士は以下の意見書を大阪高等裁判所第4刑事部に提出しました。
令和5年(ま)第5号刑事補償請求事件
請求人 稲垣 浩
意見書―検察官の令和5年9月8日付意見書に対し―
2022年9月14日
大阪高等裁判所第4刑事部 御中
請求人代理人 弁護士 後藤 貞人
1,稲垣氏の活動と身体拘束による損害
(1)稲垣氏は「釜ヶ崎炊き出しの会」の代表者として、食に事欠く日雇労働者のために、1975年以降1日の休みもなく炊き出しを続けてきた。その準備は下記労働組合事務所のある釜ヶ崎解放会館で行われている。稲垣氏らが、同会館で、全国からのカンパで集まった米に、カンパで集まった肉や野菜を加えて大釜で炊き、炊き出し場所まで運んで労働者らに提供している。稲垣氏自身も、カンパ品の仕分けの指示をし、毎日ではないけれども、自ら米を研ぎ、ガスの火加減を調整したりしている。稲垣氏が身体拘束されたことにより、それらの作業は出来なくなり、他の誰かがその作業を担わざるをえなかった。
(2)稲垣氏は、「釜ヶ崎地域合同労働組合」委員長として、日々釜ヶ崎の日雇労働者の生活、権利を護る活動を続けてきた。労働者からの相談に応じ、必要に応じて行政当局と交渉したりしてきた。
また、稲垣氏は、月曜日から金曜日までの平日は、あいりん総合センター西南の場所で毎日午前8時すぎから8時半までマイクを握り街頭に立って、釜ヶ崎日雇労働者に行政当局の動きを知らせるとともに、何が今問題か等を訴えてきた。稲垣氏は、身体拘束されたことにより、それらの活動が出来なくなった。この活動は余人をもって代えがたく、その間街頭演説はできなかった。
(3)稲垣氏が受けた損害は即物的に金銭に換算することはできない。しかし、上記のような損害は軽微なものとはいえない。補償金の額を定めるために考慮すべき大きな事情の一つである。
2,事案と身体拘束の特色
検察官は、意見書において、本件が業務妨害と評価するに足りる外形的事実が認められ、およそ稲垣氏らの行為に嫌疑がなかった事案等とは異なる、と主張している。しかし、本件は、検察官が予断をもつことなく、公正な立場で客観的な資料で検討すれば、本件監視カメラの方向変更が放火事件を口実にして、稲垣氏らを監視する目的であったことは容易に分かった筈の事案である。にもかかわらず、強引に捜査をすすめ逮捕した事案である。
しかし、身体拘束の必要はどこにもなかった。そのことは、勾留請求が却下され、検察官の準抗告も棄却されていることからも明らかである。しかも、本件で特筆すべき事情として指摘しなければならないのは次のことである。検察官は、令和元年11月、稲垣氏らを逮捕した上、勾留請求した。この勾留請求が却下され、準抗告も棄却されているのに、翌年3月、カメラを塞いだものが手袋かビニール袋かが違うだけの全く同じ事件で、再度稲垣氏らを逮捕し、逮捕中求令状起訴した。これが職権発動されていないのに、さらに準抗告まで申立てて、どこまでも身体拘束を求めた。
このよう事案であることを忘れてはならない。
3、小結
以上の事情を考慮すると、稲垣氏に対して刑事補償法の定める最高額の補償をすべきは当然である。以上
*監視カメラ逆転無罪判決の判決文抜粋は次号より続けます。
今後の予定
9月25日(月)午後3時
星野リゾート新今宮に抗議と要請行動
9月27日(水)午前11時
発信者情報開示命令申立の裁判
9月30日(土)午後3時
三角公園で集会・デモ
センターつぶすな、シャッター開けろ、強制排除反対
センターはこの街の宝です
2023年9月19日
釜ヶ崎地域合同労働組合・釜ヶ崎炊き出しの会・いながきひろし事務所
大阪市西成区萩之茶屋2‐5‐23 釜ヶ崎解放会館1階
電話(6631)7460
ファックス(6631)7490
釜合労のホームページhttps://www.kamagourou.com
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